Google(グーグル)がクラウドゲームサービスであるStadiaを発表した時に、もはやPS(プレステ)、XBOX、Switchなどのゲーム機が不要となる未来が予想されました。
しかし2021年2月2日に、GoogleがStadia向けゲームを開発する自社スタジオであるStadia Games & Entertainment (SG&E)を閉鎖すると発表しました。
ゲーム産業においてはヒットするゲームソフトがなければいかなるハードウェアやプラットフォームがあっても失敗ということになります。
果たしてStadiaはゲームプレイヤーを惹き付けるソフトを供給することが出来るのか考察してみました。
Stadiaの自社開発スタジオを閉鎖するとの発表
2019年3月にGoogle(グーグル)は、Stadia Games & Entertainmentを設立しファーストパーティのゲーム制作に力を入れることを発表しました。
新しいプラットフォーム向けに独占タイトルをリリースしていくという意気込みでした。
ところが今回のニュースで、Googleは方針を転換し社内のゲームスタジオであるStadia Games & Entertainmentを閉鎖すると発表しました。
このことで、Stadia Games & Entertainmentが制作する自社製の独占タイトル作品をStadia向けに供給することはなくなりました。
よってGoogleは出来るだけ多くのサードパーティに参入してもらいゲームソフトのラインナップを揃えていくことが重要となります。
Stadia向けのゲームソフト供給面では失敗しない?
自社開発スタジオであるStadia Games and Entertainmentである程度まで開発が進んでいて、近いうちに配信の目処が立っているゲームについては開発を続けるようです。
またStadia Games and Entertainmentは自社ゲーム開発をする一方で、サードパーティーのStadia向け移植の技術協力も進めていました。
ですので今後Googleとしては、出来るだけ多くのサードパーティに参入してもらいラインナップの拡充を図っていくことになります。
ここでどれだけ多くのヒット作品を生み出すことが出来るかがStadiaの成功もしくは失敗を決定付けて行くと思われます。
Stadia向けの自社開発ソフトの制作はなぜ失敗に終わったのか?
Googleはモントリオールやロサンゼルスに自社スタジオを設立したもののStadia向けのゲーム作品を1本も発売せずに閉鎖することとなりました。
Google StadiaのVP兼GMのPhil Harrison氏は、ゼロから完成度の高いゲームを作り上げるには長い年月と多くの資金が必要となり、コストは指数関数的に増えていったと話しています。
そして、今後はビジネスパートナーシップ強化のもと、自社ゲーム開発に必要となるリソースを外部のゲーム開発者やパブリッシャー対応に向け、プラットフォームを強化するとのことです。
Googleは、これからもStadiaのサービス運用のために、大きな資金を投じ注力することになりそうです。
Stadiaの自社開発スタジオ・スタッフの今後の行方
Stadia Games & Entertainmentは、Ubisoft社で世界的大ヒット作品となった「Assassin’s Creed(アサシンクリード)」に携わったJade Raymond氏をスタジオヘッドに据えたスタジオでした。
2019年10月にカナダのモントリオールにスタジオを設立し「Journey to the Savage Planet」を手がけたTyphoon Studiosを傘下に収めました。
2020年3月には2つ目のスタジオをアメリカのロサンゼルスに設立します。
SIEワールドワイドスタジオのSanta Monica Studioにおいてシニアディレクターとして活躍していたShannon Studstill氏をトップに据えたました。
今回の自社開発スタジオ閉鎖のニュースによると、これら2つのスタジオは閉鎖され、Jade Raymond氏はGoogleを離れることになります。
そして、Stadia Games and Entertainmentで働いていた150名のスタッフは新しい職務に異動することになります。
GoogleのクラウドゲームサービスStadiaは成功する?失敗する?
Googleの経営戦略や方針の転換は、一般企業と比べると驚くほど早いです。
臨機応変な経営判断と失敗から学ぶ戦略転換の早さがGoogleの強みとも言えます。
しかしGoogleはこれまでにゲーム以外の分野で数多くのサービスを終了しています。
ですのでゲームユーザーにとってはいつ利用体系や規約が変更されるかという不安を抱えてのクラウドゲームサービスの利用となるかもしれません。
ゲームユーザーにとって、当初は利用料金の低さもあり軽く利用出来るかもしれません。
しかし、ゲームラインナップを支えるソフト制作者や開発者にとっては、Stadiaリリースにコストをかけたところで早くもサービス終了などといった事態を想定すると参入リスクが高すぎます。
躊躇するサードパーティのソフト制作会社もあるかもしれません。
懸念される事項として、クラウドネイティブな作品のイメージが明瞭でないこと。
またゲームプレーヤーを集める効果がどれだけ向上していくかが分からないことです。
そして、マイクロソフトのxCloud、AmazonのLuna、NVIDIA GeForce Nowなどとの競争が控えています。
Stadia責任者のPhil Harrison氏は以下の通り述べています。
私たちはクラウドゲームの未来にコミットしており、この業界を前進させるために引き続き役割を果たしていきます。
私たちの目標はゲーマーのための最高のプラットフォームとパートナーのためのテクノロジーを創造し、これらの経験を世界中の人々の生活にもたらすことにあります
(TechCrunchJapan https://jp.techcrunch.comからの引用)
上述した通りのクラウドゲームサービスをGoogleが行ってくれるか今後も注目して行きたいと思います。
最後までお読み戴き有難うございました。